2014年09月18日

木造軸組構法の近代化[源 愛日児]

木造の変遷を構法からのアプローチで解き明かす試みは今までにあまりない視点。
とかく木造というと「木の文化」という大きな枠組で捉えてしまって、結局なんだか分からず、昔からあったから良いものなのだ的な落としどころでお茶を濁してしまうようなものも多い。
伝統的な構法研究(在来構法の研究―木造の継手仕口について)をしてきた筆者としてはそういったことではなく、江戸時代の終焉と明治期の間にどういった木造建築に変化が起こってきたのかを多くの文献から克明に検証しようという姿勢が読み取れる。その検証は、その時代の大工棟梁の創意工夫と新たに登場する学士建築家たちとの協働であったり、対峙であったりの歴史を当時の文献、今手にできる修理報告書などから積み木を積み上げるように論理を組み立てようとの試みでもある。
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 濃尾地震など自然災害による影響も大きいことが分かる。
阪神大震災以降に現在おこっている状況に重ねてみることもできそうだ。 特に、木造関係の技術者にとっては必携の書といえる。
ただ、書籍の版型のためなのだろうが添付の図面が小さいのが残念である。資料の文献は多数掲げられていることもあり、興味のある部分を深めることには役立つ。学生、研究者、実務者どの立場であっても頭を整理できる1冊と言えるのではないだろうか。
[目次]
1章 明治前半の洋風木造建築に見る軸組構法
2章 建築家の洋式軸組構法
3章 震災と耐震木造技術
4章 和風真壁の筋違構法
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INAXBOOKLET 継手・仕口 日本建築の隠された知恵 [濱島 正士・田中 文男・伊藤 延男・伊原惠司 ・大河直躬・他]

 「継手」と「仕口」は、釘あるいはかすがいなどを用いずに木材同士を接合する伝統的な手法、外からはそれとわからぬのがミソで、そこに大工技術の粋を見る。
1984年にINAXギャラリー にて行なわれた展覧会「継手・仕口 日本建築の隠された知恵」の展示解説のブックレット。
siguti-tugite.jpg[内容]
・座談会 大工技術の枠 継手・仕口を考える
   伊藤延男×田中文男×濱島正士
・図版構成
 継手・仕口のしくみ(構成)田中文男
 継手・仕口の基本的な形
・コラム
 日本建築の構造−社寺建築を中心に
 継手・仕口の変遷を見る
 まず鎌倉前期に大きく飛躍 継手・仕口と工匠の歴史
 工法の変遷とともに 日本建築の工具
 木の性質と継手・仕口
 木栓や木釘が補強のポイント ヨーロッパの木造仕口
 継手・仕口の痕跡から古建築の歴史を探る
 継手・仕口を機械でプレカット 期待される在来工法の応用
 <木造空間浴>のすすめ
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2014年09月16日

斑鳩の匠 宮大工三代[西岡常一・青山茂]

西岡常一棟梁が69歳の1977年が徳間書店での初版で、棟梁に関して本格的に書かれたものとしては最初の本となっているものと思われる。翌年にNHKブックスから「法隆寺を支えた木」が出版されている。
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徳間書店版 
「最後の宮大工」といわれ、木のクセを見抜き、木のいのちを活かしつづけ、明治以来三代続いた宮大工として、受け継がれてきた技と匠の世界を語りつくす。
対談形式で読みやすく、日本の文化である木造建築に携わろうとする人には必読の書。
徳間書店版は古本でないと入手できないが、再刊が平凡社からされている。
[目次]
第1章 西岡常一の歩んだ道
第2章 法隆寺金堂の解体修理
第3章 法輪寺三重塔の再建
第4章 薬師寺金堂の復興
第5章 建築用材と工具のはなし
第6章 宮大工の後継者たち
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2014年09月14日

法隆寺を支えた木[西岡常一・小原二郎]

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 最後の宮大工といわれた西岡常一棟梁と人間工学や木材工学の研究者である小原二郎千葉大教授という、木を実業として扱ってきた実務者と木の研究者の組み合わせによって木の持つ性質を知る好書である。
特に、寺院建築に用いられるヒノキは、材になってから200年は力学的強度を増すことなど、千年を越す歳月の大伽藍を支えてきた宮大工に受け継がれている経験知の確かさが科学的に解明されている。
[目次]
1飛鳥と木
2木の魅力
3木用貧乏
4木は生きている
5ヒノキと日本人
6古代における木材の輸送
7ヒノキ考

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2014年09月12日

棟梁に学ぶ家 図解 木造伝統工法基本と実践 [棟梁に学ぶ家グループ]

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初版本はオレンジ色
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 三宅島の宮下秀雄棟梁の元で1棟の伝統構法による民家建設を行なった記録。まるごと1棟の最初から完成までを豊富な図面と簡明な解説により伝えていてとても参考になる。墨付けの理屈や手順、道具の使い方など分かりやすい。
初版は1989年。第二版(2003年)は解説・図版ともに全体を見直し、より分かりやすいものに改められているという。

[目次]
1番付表 
2木拾い 
3峠からのミズの設定と現寸矩計 
4柱ほぞ及び束ほぞ覚え書き表 
5スミとスミをつくる基本の道具 
6サシガネとサシガネを基準とした定規類 
7木選びと番付 
8木取りと基準のミズズミトシンズミ 
9伝統の仕口/仕口の基本パターン 
10伝統の仕口/仕口をつくる原則とスミカケ、加工手順 
11スミカケ検討地絵図 
12スミカケの実際 
13地組と隅木 
14遣形・基礎・土台・杭石及び束石 
15建前 
16屋根下地及び屋根・棟飾り 
17造作 

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2014年09月10日

木造建築の木取りと墨付け[田処博昭(著)・ 藤沢好一(監修)]

木造建築における基礎技術を、木の性質や木取り、墨付けや加工などの基本事項を、手描きの図を多数交えてわかりやすく解説。
この本は、もともと田処氏らが徳島の職業訓練校で教材として使うために手書きでまとめられた「MAMIMU・MEMO 木造建築覚書<閑中玩>」が元になっており、その味のある表現の良さが再構成されている。
木を扱う大工の知恵を明らかにしている貴重な書。
[目次]
1章 本書の見方・使い方
2章 木取り・墨付けの作業フロー
3章 育てる―立木
4章 挽く―製材
5章 見せる―木目(杢)
6章 乾かす―乾燥
7章 名付ける―木取り
8章 構える―架構構成
9章 描く―伏図の描き方
10章 打つ―墨付け
11章 刻む―仕口・継手の加工寸法
12章 組み上げる―木組み
13章 付録
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2014年09月04日

木造の継手と仕口[住吉 寅七・松井 源吾]

木造の継手・仕口について、組み上げ方法を示した精巧な模型写真と寸法を付記した図面によって解説。
建築・都市計画の理論としてパタン・ランゲージを提唱したことで知られるC.アレグサンダーの論理の実践の場として設計された盈進学園東野高校(入間市)の大型木造建築の建設に参画したことが出会いとなる棟梁・住吉寅七氏と構造家・松井源吾教授との共著というところが面白い。
継手仕口の接合手順を複数の写真により作り手の視点で構成し、主要なものは構造実験による破壊状態や荷重変形曲線など構造家の目で性能を示している。
[目次]
(1)継手―腰かけあり継ぎ/腰かけかま継ぎ/追かけ大栓継ぎ/金輪継ぎ/尻ばさみ継ぎ/めちいれ/いすか継ぎ/隠し継ぎ/柱継手
(2)仕口―片下げあり/割りくさび/地獄ほぞ/送りあり/二枚ほぞの住吉案/二方差し/三方差し/土台の仕口/京呂組/折置組/小屋台持継ぎ/寄せ棟の隅/縁側の桁(丸太桁)
(3)その他―破風板/水準器/やりかた杭
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2014年09月01日

日本建築辞彙[中村達太郎(著)・太田博太郎 (編集)・稲垣栄三 (編集)]

明治39年に中村達太郎(1860-1942)が単独で編纂し、約4000語が収録されていたものの新訂版。
日本建築辞彙は以後の木造建築用語辞典のほとんどの原本的存在となっている。
新訂にあたって、いろは順が五十音順に並び替えられており、現在の木造建築への対応も考慮された訂正や補足が欄外にあり使い勝手がよくなっている。
建築用語に困った時の座右の書。
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